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どうする義清って何なのさッ #2 上田原の戦いでどうする?

目次

義清の支配地域が拡大

#1 義清のご先祖様がどうする? からの続き)

上田原古戦場跡地にひっそりと祀られている「板垣信方の墓(伝)」

パパ:義清さんのご先祖様が信濃惣大将に就任したってことは、村上氏が信濃の国をまるっと治めたってこと?

滝澤:そこまでではないんだ。でも、いよいよ登場する義清さんの時代では、東北信全域を治めたと言われているよ。

ケン:すごい範囲だね!

パパ:広いなぁ! 大名クラスじゃない? 

滝澤:そのくらいの規模だよね。ただ、義清さんはいわゆる国衆と呼ばれる地方豪族に過ぎないんだ。当時、甲斐の国を治めていた武田信虎さん(信玄の父)や諏訪地方の領主の諏訪頼重さんの力を借りて、勢力を一気に拡大したと言われている。

パパ:この辺りから武田氏が絡んでくるんだね。

ケン:ボクもその話は知っているよ! その後、信虎さんは息子の信玄さんに追放されたんだよね。

滝澤:さすがケンちゃん! 歴史をよくお勉強しているなぁ。

ケン:いやぁ、それほどでも(笑)

パパ:じゃあ信虎さんが追放された後、義清さんは信玄さんとの結びつきを強めることになるのかな?

滝澤:ところがそうはいかないんだ。

信玄の信濃侵攻

パパ:気まずい感じ??

滝澤:うん。村上義清・武田信虎・諏訪頼重の三者連合は信虎さんの追放によって空中分解しちゃったんだ。その後、信玄さんと頼重さんの折り合いも悪くなってしまって・・。

パパ:仲良くしていればいいのに。

滝澤:信玄さんは、頼重さんを討伐するため戦を仕掛け、見事勝利した。大河ドラマ「風林火山」を見た方は覚えているかもしれないけれど、信玄さんは戦の後に、頼重さんの娘をお嫁さんに迎えている。

パパ:敵の大将の娘をお嫁さんに??

滝澤:さらに、諏訪氏が代々継いできた諏訪明神の神官として最高位にあたる「大祝(おおほおり)」という地位も奪ったんだ。

パパ:とにかく奪う信玄さんだねぇ。信玄さんが安村さんだったら明るい世の中にしてくれたのかも・・。

ケンとにかく明るい安村さん? 今?

滝澤:しーん・・。

パパ:し、しかし大祝って名前がいいよね! 「デカい」に「祝う」だもん。おめでたいなぁ。

ケン:「デカい」って何なの? おめでたいのはパパだけです!

パパ:つ、続きをお願いします・・。

滝澤:諏訪を奪った信玄さんは、信濃のさらなる占領を目論む。そこで、次の標的になったのが、東北信地域ってわけ。

パパ:信濃の人たちにとっては、いい迷惑だね・・。

信玄、残虐非道なり!

滝澤:その後、諏訪から佐久に入ってからは当時の戦のマナーを無視するような残虐非道な行いをしながら、上田、坂城方面に進軍したんだ。

パパ:いったいどんな・・?

滝澤:うん。当時の戦の一般的なマナーで言うと、戦をして負かした相手を根絶やしにすることはなかったんだ。だけど、信玄さんは佐久での戦に勝つたびに、負かした相手を滅ぼし、捕虜を甲斐に連れ帰って人身売買をしたりしたんだ。

パパ:そんなひどいことを・・。

滝澤:そうなんだ。佐久平って言うくらい、佐久には大きな農地があるわけだけど、一説によると、信玄さんがあまりに佐久の人を一掃してしまって、農地を耕す人がいなくなった。だから当時の佐久地方は今の山梨県や、長野県伊那市や中川村から農民を呼び寄せて、耕作させたらしい。

パパ:そんなことがあったんだ(泣)

ケン:信玄さん無茶苦茶だね。恐ろしい・・。

滝澤:若気の至りでは片づけられないよね。

上田市立川辺小学校の校舎裏にある「信玄道」。上田原の戦いで、武田信玄が通ったと伝わる。

激突、上田原の戦い!

「産川(さんがわ)」を挟み、村上軍(左岸)と武田軍(右岸)が激突した。左の山(天白山)の中腹に義清の本陣があったとされる。
産川の下流、千曲川に合流する周辺一帯が、戦の舞台となった。

ケン:佐久を攻略した信玄さんは、いよいよ上田に侵攻してくるんだね。

パパ:義清さんと対決だね!

滝澤:うん。一度目の戦は、上田市の中央を流れる千曲川の左岸、上田原での戦いだ。この時、義清さんは48歳。当初、数に勝る武田軍が優勢で、勢いに乗った武田軍はチャンスとばかりに村上軍の本陣に迫るんだけど、ここでまさかの事態が起こるんだ。

パパ:と、言うと?

滝澤:当時の上田は村上軍のホームグラウンドだから地の利があるよね。攻め過ぎた武田軍は、逆に攻勢限界を突破してしまう!

パパ:どうなっちゃうの?

滝澤:懐に入り過ぎた武田軍は村上軍の激しい反撃にあう。その結果、重臣の板垣信方さん、甘利虎泰さんらを同時に失ってしまったんだ。

パパ:大河ドラマ「風林火山」を思い出すなぁ。板垣信方さんを演じていた千葉真一さんのやられっぷりがよかったんだよねぇ。

ケン:ボクはまだ生まれてないや(笑)

滝澤:諏訪での勝利の勢いのまま、戦の範囲を広げた信玄さんだけど、上田原の戦いでは大敗を喫してしまった。ただ、これを受け入れることができなかった信玄さんは、敗戦後のなんと二カ月もの間、真冬の信州に残って「勝った勝った」と、言いふらしていたみたい。

パパ:二カ月も? 信玄さん大丈夫?

ケン:だめかも(汗)

滝澤:だめだよね。これはまずいと思った部下が、信玄さんのお母さんに手紙を送って、「早く甲斐に帰るように」って信玄さんを説得して欲しいとお願いしている。

パパ:色々な記録が残っているんだね。

滝澤:お母さんの説得を受け入れた信玄さんは、渋々、甲斐に引き返すことになるんだ。

ケン:よかったと言うかなんと言うか・・。

「板垣信方の墓(伝)」奥にある供養塔には、煙草好きの信方を偲んで、多くの煙草が供えられている。

#3 砥石城の戦いでどうする? に続く)