「児童養護施設 森の家はらとうげ」は、なぜ小牧山(上田市)の中腹・原峠にあるのか・・?
森の家はらとうげの歩み①では、松井医院の院長 松井鳳平さんが、原峠で小児結核診療所を始められたエピソードが語られました。
引き続き、三代目園長 松井正さんの奥様である松井幸枝さん(92歳)のインタビューをお届けします。
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入所者に変化が・・
昭和38年に初めて不登校児が入所してきました。中学の統廃合が進んだ時代、大きな規模の学校になじめない子が出てきたんでしょう。それからというもの、虚弱児の受け入れよりも、長欠や不就学児の受け入れが多くなりました。
ーー戦後復興が進んで、虚弱児が減ったということでしょうか。では、そのあたりから今の施設の形に変わっていったのですね。
そうですね。徐々にではありますが、受け入れる子どもたちに合わせて、今の形になってきました。昭和63年には上田二中から上田四中の分室となり、平成5年に小学生の分室の利用者がいなくなったことを受けて城下小の分室は閉鎖しました。平成10年に児童福祉法改正により、「虚弱児施設」から「児童養護施設」に変わりました。
園舎を建て替え、森の家はらとうげとしてスタート!
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ーー2020年、園舎の建て替えを機に、原峠保養園から森の家はらとうげに名称を変更されました。
厚労省から「次世代育成支援対策施設交付金」を受け、素晴らしい園舎に建て替えることができました。今までは大部屋でしたが、少人数の小部屋になり、お手洗いなどの水回りの設備も充実しました。
ーーいまどきの事情に合わせてプライバシーの確保も考えられているんですね。お子さん達にはどのように過ごしてもらいたいでしょうか?
職員は『笑顔で明るく、元気に大きい声で返事をしよう。挨拶をしよう。自然を大切に守り、育てよう』と子どもたちに呼びかけています。それに加えて、鳳平は『うそをつかない、ごまかしをしない、人を愛する』と、よく子どもたちに語りかけていました。基本的なことですが、守ってほしいと思います。
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原峠の魅力を教えてください
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建て替えるのならいっそ街に下りては? という話しも出たようですが、原峠にしかない魅力があります。それはこの自然です。落ち着いた環境の中で、規則正しい生活を送る。鳥の声を聴き、季節の変化を体で感じることで穏やかな心を育む。社会に出たOB・OGから『原峠の生活はかけがえのない時間だった』という声をたくさん聞きます。嬉しいですね。
森の家はらとうげのこれから
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鳳平が始めた「小児結核施設」はその姿や名前を変え現在に至りますが、子どもの健やかな成長を見守りたいという思いは当時から変わりません。今後も、地域の皆さまに森の家はらとうげを温かく見守っていただけると幸いです。
実は、森の家はらとうげの成り立ちを私なりに整理しキチンと文章にして残しておきたいと考えていたところでした。今回のインタビューで地域の皆さんに知っていただく機会に恵まれ、感謝しています。(後編へ続く)